<イベント開催報告>2022年11月23日(水)

「地域循環共生圏フォーラム in SUWA~諏訪広域エリアのもり・さと・かわ・うみビジョン~」を開催しました

開催日時:20221123日 13001700

開催場所:諏訪市文化センター

主催:環境省中部環境パートナーシップオフィス(EPO中部)

共催:一社)諏訪広域脱炭素イノベーション協会

 

後援:長野県、茅野市、諏訪市、岡谷市、下諏訪町、富士見町、原村、八十二銀行、諏訪信用金庫、諏訪商工会議所

―プログラム―

<第1部>

【挨拶】環境省中部地方環境事務所 環境対策課長 曽山 信雄 氏

【講演】京都大学名誉教授 田中克先生

【講演】地球村研究室代表、東北大学名誉教授、SuMPO理事長 石田秀輝先生


【地域の取組発表

 一社)諏訪広域脱炭素イノベーション協会
 代表理事 元木 誠氏

【地域の取組発表
 株式会社八十二銀行
 企画部サステナビリティ統括室長 中林武氏
【地域の取組発表

 東急リゾーツ&ステイ株式会社
 資産企画統括部 徳田 圭太氏

【第1部のまとめ】

 長野県環境部次長 真関 隆氏

 

<第2部>

【ワークショップ】 諏訪広域エリアのもり・さと・かわ・うみビジョンを考える ファシリテータ: 中部環境パートナーシップオフィス(EPO中部)

 

【講評】 田中 克 氏 (京都大学名誉教授) 石田 秀輝 氏 (地球村研究室代表、東北大学名誉教授、SuMPO理事長)

 

【まとめ】 元木 誠 氏 (一社)諏訪広域脱炭素イノベーション協会代表理事) 


―開催報告―

 開会にあたり、環境省中部地方環境事務所 環境対策課長 曽山信雄様より、地域に脱炭素社会を作ることを推進しております。各地域において、様々な課題はありますが、2050年に脱炭素社会をゴールとするのではなく、脱炭素でない地域は、残らない。ということが世界的の目標です。

 

地域の自然資源を活用し、本当に残したいもの何かを掘り下げて考える機会になればと思います。と冒頭の挨拶があった。

 

【講演1】

 

~「森里海」の旅-いのちと水の巡り~と題して、京都大学名誉教授 田中克先生よりのご講演。

 

 田中先生は、琵琶湖自然と自然、自然と人のつながりの大切さの「森里海連関学」を提唱し、海、森、里、人、すべての命の循環の源は、「水」である。自然への畏敬の念を取り戻す大切さ、物質文明(大量生産、大量消費、大量廃棄)は終焉であり、地球生命系の免疫システムの再構築が最も必要だと唱える。「森は海の恋人」運動を牽引する気仙沼の牡蠣漁師 畠山重篤さんらと共に30年に亘り植樹祭を行い、さらに「気仙沼舞根湾調査」「有明海の再生」等など数々の活動を続け、環境教育と共に世界に発信し続けている。

 

「森里海連関」は、つながりの価値観の再生。そのカギは、「里」のあり様。海と森の間の水と「いのちの循環」、「里」の営みを問い直す行動学、行動なしには、“コト”は、動かない。と強いメッセージを込めた講演でした。

 

 

 

【講演2】

 

~未来の子供たちにすてきなバトンを手渡したい!-沖永良部島から~と題して、地球村研究室代表、東北大学名誉教授、SuMPO理事長 石田秀輝先生のご講演。

 

豊かな自然の沖永良部に住む石田先生は、地球環境問題を考えると成長の定義が180度変わった。これには縮む豊かさを考えなくてはいけない。

 

地球環境の限界にきている。近年、人工物の増大化や人間活動の肥大化による、生物多様性の劣化、気候変動、マイクロプラスチック、この3つを考え直さないといけない。未来の子供たちにバトンを手渡すための本質的なことは何か、それには、環境負荷、経済負荷、社会負荷の総量を減らす(縮減)必要がある。市場原理主義の限界にきており、自然や循環するものに変えていかなくてはならないと語る。それを変えるには小規模多機能自治、様々なものの自足、自然文化の学びなおし、「縮減」「自立」することで、環境省の「地域循環共生圏」とマッチした2030年の未来像が沖永良部にはある。と考えさせる講演でした。

 

 

 


 【地域の取組発表】一社)諏訪広域脱炭素イノベーション協会 代表理事 元木 誠氏

 2050年に脱炭素が達成されていないと社会の中に生き残れないということを地域に根付かせ、達成できるようしなくてはならないと思い、2020年にこの法人を設立した。

202111月 1回「地域循環共生圏・脱炭素がつくるまち創り」シンポジウム開催(基調講演:環境省中井事務次官)、20223月 諏訪市、東急不動産、東急リゾーツ&ステイと「地域循環共生圏に関わる包括連携協定」締結、20226月 第2回「地域循環共生圏・脱炭素がつくるまち創り」シンポジウム開催(基調講演:環境省中井事務次官)、20226月 諏訪市「ゼロカーボンシティ及び地域循環共生圏の実現に向けた連携協定」を締結した。

現在、「諏訪圏もりぐらし」として、木質資源の有効活用を実施し、脱炭素化を目指し、さらに山の環境づくりは、海つくりとし、「みずくらし」の取組みを語った。

推奨商品として「バイオ洗剤」の紹介、食品ロスをなくす活動応援を発表した。

 

【地域の取組発表】 株式会社八十二銀行 企画部サステナビリティ統括室長 中林武氏

八十二銀行は、「サスティナビリティ」を経営の根幹に据えると宣言。

ESG地域促進事業」の取組みとして、気候リスク/機会分析を通じた持続可能な農業のための支援策の検討・実施し、ステークホルダーに気候変動におけるリスクと機会の特定をヒアリングし、事業性評価に加え、自然資本の観点からも評価・提案し、地域の持続可能性の向上につなげている。

また、SDGsESGに関する挑戦目標とした金融商品の取組などを発表された。

 

【地域の取組発表】 東急リゾーツ&ステイ株式会社 資産企画統括部 徳田 圭太氏

茅野市にある蓼科リゾートタウン(660ha)を中心に森林資源を核とし、「まもる」「つかう」「つなぐ」の持続可能な地域循環サイクルを「もりぐらし」と称して2017年より取組みを行っている。

「まもる」森林経営計画を5年ごと策定し、間伐、保全整備を行い、「つかう」保全間伐をした森林資源をバイオマスボイラーにて施設内の燃料を賄うことでコストも削減し、すべてのCO2の排出を抑制することが出来ている。森で遊び、食べ、過ごす森の魅力を発信し「つなぐ」としている。森にきちんと価値を付加できれば、森は地域の宝、地域に残すべき大切な資産となる。地方創生と事業活動を両立させ、環境と経済の好循環を生む「もりぐらし」モデルを全国に広げる取組を実践していると発表された。

 

【第1部のまとめ】 長野県環境部次長 真関 隆氏

田中克先生のご講演は、人と人の輪、海と山、世代を超えたつながりが森里川海の保全に大切だと感じた。石田秀輝先生のご講演では、「縮減の豊かさ」がこれからの時代、大切なキーワードだと衝撃を受けた。地域取組の3人の方の発表も参考となる話であった。

長野県は、8つの水源を抱え、諏訪湖を中心に水系としても森里川海の象徴的な地形である。

そこで、環境問題は、山は海のことを考え、諏訪から日本のこと地球のことを考え、また逆もしかりで相互のことを考え、行動していかないと持続可能な将来はないのかと本日のおお話を聞いて感じた。とまとめられた。

 

【第2部 ワークショップ】 諏訪広域エリアのもり・さと・かわ・うみビジョンを考える

5つのグループに分かれて、地域にある課題、地域の資源、そして、それを活用して、どのような将来像が描けるかディスカッションを行った。

 

各班とも活発で具体的な意見が交換され、未来像が見える有意義なワークショップとなった。