<イベント開催報告>2022年6月15日(水)

第二回「地域循環共生圏・脱炭素がつくる、まち創り」シンポジウムを開催いたしました。

 

6月15日諏訪広域脱炭素イノベーション協会は「地域循環共生圏・脱炭素がつくる、まち創り」シンポジウムを茅野市市庁舎大ホールにて開催いたしました。

 

内容詳細は以下の通りです。

 第1部 <地域取組発表>

 諏訪市 市民環境部 環境課 中澤健一課長

 茅野市 ゼロカーボン推進室 鷹野鉄也室長

 

第2部 <基調講演>

 環境省事務次官 中井徳太郎

 

第3部 <パネルディスカッション>

 環境省事務次官 中井徳太郎

 諏訪市長 金子ゆかり

 茅野市長 今井敦

 コーディネーター一社)諏訪広域脱炭素イノベーション協会代表理事 元木誠

 

諏訪市金子市長より開会として、昨年11月の第1回シンポジウムでも中井事務次官のご講演にて大変刺激を受け、諏訪市も3月26日にゼロカーボン宣言をしたところです。地域を超えて、タッグを組み、協働して、脱炭素、地域環境対策に取り組んで参りたい。と挨拶されました。

 

元木代表理事は、地球規模の温暖化、気候変動の中、立場や地域を超えて、地球環境問題、温暖化対策、SDGsを自分事と捉え、一人ひとりが出来る事は何かを考え、皆が協力して実施し、イノベーションを起こす機会としたいと宣言し開会しました。

 

第1部 ≪地域取組発表≫ 

〇諏訪市 市民環境部 環境課 中澤健一課長

諏訪市は、令和4年3月26日にゼロカーボン宣言を行い、高原湖畔都市から脱炭素社会を目指すとして、製造業、宿泊業、金融業、建設設備業など148社の賛同を得て、ゼロカーボン元年としてスタート。

市民、事業者、行政として、再エネの利活用とCO2吸収源の増加、ライフスタイルの変革推進、持続可能な社会、機構変動に備えたまちづくり、循環型社会実現、ごみの再資源化の4つの取組を宣言。

 

〇茅野市 ゼロカーボン推進室 鷹野鉄也室長

茅野市は、本年度より「ゼロカーボン推進室」を設置し、市民、事業者、各種団体等の皆様と市が協働して地域の地球温暖化対策を積極的に実践・推進するために活動。

今後の取組として、茅野市の特性を踏まえた将来像・脱炭素シナリオ・実現に向けた推進体制の検討・ロードマップの作製を行っていく方針。

 

第2部 ≪基調講演≫ 環境省 事務次官 中井徳太郎氏

地球はもはや温暖化を超えて大変な気候危機である。と閣議決定。地球が痛んでいる。

大量生産、大量消費による人間の活動により、生物多様性の損失や気候危機となっている。

エネルギーを地下資源に頼り、地球環境容量の限界となり、人が地球に及ぼしている環境問題を解決しなくてはならい。2050年までに1.5℃下げる目標として世界が合意。

地球を健康体に戻し、経済活動の質を変えるためにESG(環境・社会・企業統治)金融の拡大を図っていく。ESG投資が世界でも注目を集め、日本でも脱炭素経営に企業もシフトさせていく。今までのCSR的な考え方から根本的に経済の仕組みを変える経営上の重要課題として、全社を挙げて取り組むものとして、本業と連携して行っていく時代へとなった。

今回、目標を、2030年度までに46%削減(2013年度比)に見直しをし、さらに50%の高みに向け挑戦を続けること等を発言。

岸田政権に代わり、「クリーンエネルギー戦略の策定」をした。

炭素中立型社会へ転換するため、少なくとも今後10年間で、官民協調で150兆円超の脱炭素分野での新たな 関連投資を実現。規制・市場設計・政府支援・金融枠組み・インフラ整備などを包括的に、GX(グリーントランスフォーメーション)投資のための10 年ロードマップとして示す。成長志向型カーボンプライシング構想を具体化する中で、裏付けとなる将来の財源を確保しながら20兆円とも言われている必要な政府資金をGX経済移行債(仮称)で先行して調達し、速やかに投資支援に回していくことと一体で検討。可及的速やかにGX促進のための支援資金を先行して調達し、民間セクターや市場に、政府としてコミットメントする。企業の投資の予見可能性を高められるよう、具体的なロードマップを示す。

今ある技術を実装することで実現する。

 

環境省が発想を変えて、経済需要も起こすという「地域循環共生圏ローカルSDGs」の創造3つの切り口。その1.カーボンニュートラル。2つ目は、循環経済。3.分散型自然共生社会と「3つの移行」で経済社会をリデザイン(再設計)する。

製造の上流からリサイクル循環させるサーキュラーエコノミーへの移行を加速させる。

NBS(Nature based Solution)は、気候変動や自然災害を含む社会的課題に対応し、人間の幸福と生物多様性の両方に貢献するという考え方で世界の潮流であり、自然のしくみや力を用いて社会問題の解決を目指す。

 

さらに、2030年までに国土の30%以上を自然環境エリアとして保全する 30by30を促進させる。日本もコミットしている。

このような自然の恵みに着目し、それが経済の本流だということが世界の流れとなり、ESGという自然資本に基づいた経済活動かを示す、それにはESG情報開示が必要で、生物多様性分野でも求められるようになる。(20216G7首脳会合にてTNFDの設立と提言・20219月フレームワーク枠組検討)

その主軸が脱炭素であり、わが国では、2030年度までに少なくとも100か所の「脱炭素先行地域」をつくり、2050年を待たずに脱炭素で強靭な活力ある地域を全国で実現させる。

2022426日、脱炭素先行地域第一弾として26件を選定した。

森里川海という自然の恵みを引き出して、自立分散、地産地消、地域のポテンシャルを見直して、地域循環共生圏=ローカルSDGsの実現を目指す。

 

「地域循環共生圏」は、資源を循環利用して持続する「自立」する。地域が、相互に連携し機能する。顔の見える関係からボトムアップで企業や行政と築いていく。

人に例えると、体の一個一個の細胞の末端から全知全能を開花させる。ということと同じ。

ローカルにある特有の資源を生かし、環境・経済・社会を 統合的に良くする事業・ビジネスを生み、循環させていく。これこそが「ローカルSDGs」。そして、地域づくりを持続的に行っていくことが「地域循環共生圏」。

取り組み事例として、小田原市はEVのシェアリングを市がリード、徳島県の84プロジェクトでは森林を利活用、鶴岡市三瀬地区自治会では木質バイオマス、徳島県NPO法人とくしまコウノトリ基金は、コウノトリと共生する社会づくり、三重県尾鷲市のおわせSEAモデルでは、火力発電所跡地を地域再生拠点とした再エネ社会づくりなど、様々な地域特性にあったプロジェクトを実施し「地域循環共生圏」ている。

 

冒頭の「気候危機」の対策する上で、世界のSDGs達成も私たちの地域から、地域の問題や課題を共有し、「地域循環共生圏」と合わせて、森里川海プロジェクトも実施している。

自然との共有感が、世界の共通目標であるSDGsの達成につながり、「気候危機」の対策となる。

環境省では、第9回グッドライフアワード賞を授与している。

(株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ、大木町など)

 

現在、地震・災害あり、コロナ禍でもあり、戦争まで起こる時世。その中で私たちはどうするか、自給力、自活力のコア概念が、「地域循環共生圏」であり、脱炭素社会、循環経済、分散型自然共生社会への移行し、地域の資源・活力を活かし、経済社会のRedesignしていくことが大切と力説された。

 

 第3部 <パネルディスカッション>

諏訪市長、茅野市長とも前回第1回シンポジウムでの中井事務次官の講演に刺激を受け、諏訪市は、「ゼロカーボン宣言」し、茅野市では、ゼロカーボン推進室を設け、八ヶ岳山麓の原村、富士見町とも共同で取り組みを進めている。

諏訪市の金子市長は、地球規模の問題を一人ひとりから環境対策を実施しないとならないと感じ、天与の恵みをしっかり受け止めて、地熱、温泉熱など自然の力を活かし、官民合わせて早く達成しなくてはならない。と発言。

 

茅野市の今井市長は、小水力発電やバイオマスなど民間主導での取り組みを後押しする形で広げていきたい。と発し、「脱炭素先行地域」についても両市ともエントリーしたいと宣言した。

 

中井事務次官は、諏訪地域には、森があり、里があり、川があり、諏訪湖があり、諏訪大社がある。自然の恵みと共存する日本人の精神性がある。そこをベースに企業の発想、民間(観光・農業も含め)の発想、行政の発想もかみ合うように地域をボトムアップしていくがコアであると述べ、歴史や精神性と現代の先端企業や産業と共有しながら、進めていく。その共有感を市民に浸透させることが各首長のお力かと思う。とも述べた。

さらに長期的なイノベーションだけでなく、5年後には、「実装」させる前向きなチャレンジを国は、期待している。と熱く述べた。

 

コーディネーターの元木氏は、「森里川海P」「地域循環共生圏」「脱炭素社会」と国の力強い方向性に沿って、諏訪広域で達成できるよう取り組んでいきたい。と締めくくった。

 

翌2022年6月16日 ≪地域視察≫

中井事務次官とともに茅野市、蓼科東急リゾート内 「もりぐらし構想・木質バイオマスボイラー事例」、茅野市内 太陽光、小水力、温泉熱利用、諏訪市温泉熱発電などを見学、諏訪大社(前宮・本宮・春宮・秋宮)4社を巡り、八剱神社では、御渡神事観測記録など世界最古の気象記録に自然環境の変化を実感する視察となった。

 

最後に、今回シンポジウムにお越しくださった方々をはじめ、ご後援をいただいた団体様、様々なかたちでサポートしてくださる皆さまに改めて感謝の気持ちをお伝えさせて頂きます。